写生の定義は生きている対象物を描写することである

同時に対象物と作者が作品を共同制作する過程でもある

東富有

1人の画家は小さな島にいた。

この島は四季折々の様々な表情を見せてくれる。

この壮大な景色は見る者を魅了し

神聖で偉大な大自然は

私たち人間をちっぽけな存在に感じさせる。

また同時に私たちにエネルギーや感動を与えてくれた。

目まぐるしい現代社会から離れ

この一人の画家は

静寂に包まれたこの小さな島で

そんな自然と対話をし恋をしていた。

父はたった六色の絵具と一本の筆しか持たない。

そして大自然の中で白いキャンパスに

鉛筆の下書きもせずに筆を運ばせた。

父の一筆一筆は

白い舞台の上で自然の音楽に合わせて

軽やかに踊っているようだった。

まるで武士のように一切の無駄な動作がなかった。

その作品からは地球の大地が回り

風が吹き、水は流れ

鳥の鳴き声が聴こえた。

作品の中の新鮮な空気を吸い込むと

その大自然の声を身体の中に取り込めそうだった。

そして何よりこの作品から大自然の鼓動を感じ

父と美しい大自然は一体になっていることがわかった。

文 東俊達

東 富有 (あずま ふゆう)

新潟県佐渡市在住

画家 

東有達、東俊達、東達美の師匠

学校法人新潟国際藝術学院 学院長

中国シャントウ大学など 客員教授

日本タイ国際教育連携プロジェクト 大学院生·博士指導教官

日本国際水彩画会 代表

佐渡国際美術館  館長